
Eclipse の設定内容は多岐にわたりますが、Pleiades All in One では予め適切な推奨値に設定されているため、「1-1. Eclipse (Pleiades All in One) のインストール」の後、何もせずにそのまま使い始めることもできます。
ここでは、初心者でも把握しておくべき必要最低限の設定値について、一通り確認してみましょう。
Eclipse の設定方法について
Eclipse の各種設定は、メニューの [ウィンドウ] – [設定] から行います。
設定した内容は基本的にワークスペースフォルダに保存されます。従って、一度設定を行えば、そのワークスペース内のすべてのプロジェクトのデフォルト値として有効になります。
別の新しいワークスペースで作業を行う際は、再度設定を行う必要があります。
基本的な設定
A) Java バージョンの設定
a-1) コンパイラ準拠レベルの設定
コンパイラは、作成したソースコードを実行可能なバイトコードに変換するものです。ざっくり言うと、新しいバージョンであるほど、Java の新しい文法を利用できます。
[Java] – [コンパイラー] で設定します。
Pleiades All in One 2021-09 では 1.3, 1.4, 1.5, 1.6, 1.7, 1.8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17 の実に 15 種類のバージョン(準拠レベル)を選択することができます。Pleiades All in One 2021-09 では 17 がデフォルトに設定されています。本サイトでも 17 を選ぶことにします。本サイトの題材である reversi ライブラリも、Java17 で作成されています。
Java17 を選ぶ理由
Java8 以降、Javaのバージョンは次の2種類に分けられることになりました。
- LTS(Long Term Support)と呼ばれる、長期間サポートされるバージョン
- non-LTSと呼ばれる、短期間しかサポートされないバージョン
2021年10月時点における最新のLTSは Java17 であり、その前は Java11、さらにその前は Java8 でした。それらの間のバージョンはサポート期間がわずか半年に過ぎないnon-LTSであり、いわば次のLTSに向けた実験的なバージョンと言えます。初心者の皆さんがnon-LTSを選択する利点はありません。
Java8, Java11, Java17 のどれを選ぶかはやや迷うところです。世の中のシステムでは、まだまだ Java11 のみならず Java8 も多く利用されています。
様々な周辺ツールを活用した高機能性・高信頼性・高生産性が求められる企業システムであれば、Java11 を選ぶべきかもしれません。まだ Java17 に対応していない、あるいは Java17 での利用実績が少ない周辺ツールが沢山あるからです。
しかしこれからプログラミングを学ぶ皆さんには Java17 が適していると思います。Java の中核的な機能は全く問題なく利用でき、プログラミングの最新トレンドが反映されているからです。
皆さんのプログラミングスキルが上達し様々な周辺ツールを使いこなせるようになる頃には、各種周辺ツールも Java17 に対応していることでしょう。
なお、ここで設定する「コンパイラ準拠レベル」と次に設定する「JREバージョン」は厳密には別のものであり、別々のバージョンを設定することもできます。しかし、無用な混乱を避けるために、特段の事情がない限り同じバージョンを設定するのがよいでしょう。
a-2) JREバージョンの設定
JRE(Java Runtime Environment)は、コンパイラにより生成されたプログラムを実行するためのものであり、JDK(Java Development Kit)に含まれます。ざっくり言うと、新しいバージョンであるほど、Java 標準ライブラリの新しい機能を利用できます。
[Java] – [インストール済みの JRE] で設定します
こちらも、Pleiades All in One 2021-09 では Java17 がデフォルトに設定されています。本サイトでも Java17 を選ぶことにします。
上で説明したとおり、「コンパイラ準拠レベル」と「JREバージョン」は厳密には別のものであり別々のバージョンに設定することもできますが、無用な混乱を避けるため、基本的には同じバージョンを設定すべきです。
B) エディタ関連の設定
b-1) 文字コードと改行コードの設定
Windows のメモ帳などのエディタでは、以前はいわゆる「Shift_JIS」が標準になっていることが多かったですが、近年は「UTF-8」を標準とするものが増えてきました。
プログラミングの世界でも、Windows であれ Mac であれ Linux であれ、「UTF-8」でソースコードを保存するのがデファクトスタンダードになっています。
[一般] – [ワークスペース] で設定します。
[テキスト・ファイル・エンコード] が「UTF-8」になっていることを確認しましょう。
また、この画面で新規ファイルの改行コードも指定できます。
Pleiades All in One 2021-09 では「その他: Unix」が初期設定されていますが、Windows PCで作業を行うのであれば、Unixの改行コード(LF)よりもWindowsの改行コード(CR+LF)にしておくのが無難です。[新規テキスト・ファイルの行区切り文字] で「デフォルト (Windows)」を選択します。(上図参照)
設定を変更したら [適用] ボタンを押して反映させます。
b-2) フォントの設定
フォントによっては全角文字が正しく表示されない場合がありますので、念のため設定を確認しておきましょう。
[一般] – [外観] – [色とフォント] を選択し、ウィンドウ右側の [基本] – [テキスト・フォント] を選択します。
Pleiades All in One 2021-09 では「MS ゴシック」に設定されています。
「MS ゴシック」であれば、まず問題はないでしょう。
Pleiades All in One の以前のバージョンでは「Consolas」に設定されていました。
「Consolas」はソースコードの表示フォントとして人気のあるフォントですが、一部の全角文字が正しく表示されないという問題がありました。
フォントの設定を変更するには、ウィンドウ右側の [テキスト・フォント] をダブルクリックします。
お好きなフォントを選択し、[OK] ボタンを押します。
設定を変更した場合は、画面右下の [適用] ボタンを押して反映させます。
b-3) 空白文字の表示設定
コーディングをしていると、ソースコードにはどこにも問題が無いように見えるのにコンパイルエラーとなり、よくよく調べたら半角スペースの中にひとつだけ全角スペースが混じっていた、なんてことがあります。
始めのうちは慣れないと思いますが、空白文字(半角スペース、全角スペース、タブ、改行)の記号を表示するように設定しておくことをお勧めします。
[一般] – [エディター] – [テキスト・エディター] で設定します。
Pleiades All in One 2021-09 では空白文字が記号で表示されるように設定されています。
C) その他の設定
c-1) ワークスペースの再選択
Eclipse の起動時に表示されるEclipse IDEランチャーで「この選択をデフォルトとして使用し、今後この質問を表示しない」をチェックすると、それ以降の起動時にはEclipse IDEランチャーが表示されず、同じワークスペースが使用されるようになります。
しかし、一度チェックしてしまったものの、ワークスペースを指定しなおしたい場合もあるでしょう。
そのような場合は、[一般] – [開始およびシャットダウン] – [ワークスペース] で [起動時にワークスペースをプロンプト] にチェックを付けることで、再びEclipse IDEランチャーが表示されるようになります。
c-2) ダークモードの変更
近年いろいろなアプリで、黒い背景色を基調とした「ダークモード」が流行っています。しかし従来の白い背景色を基調とした画面の方が好きな方もいることでしょう。
画面表示モードは [一般] – [外観] – [ルック&フィール] から変更することができます。
お好きなルック&フィールをご選択ください。
ここまで、必要最低限の設定値を確認してきました。
Pleiades All in One では予め適切な推奨値に設定されているため、内容をよく理解できないうちは変更しないのが無難です。
少しずつ内容を理解して自分好みの設定値に変更することを通じて、より使いやすい環境にカスタマイズするとともに、プログラミングや実行環境に対する理解を深めることができるでしょう。
以上の設定が終わったら、次の「1-3. Java プロジェクトの作成」に進みましょう。